お盆の迎え方については地方によってもいろいろです。
また、宗派によっても様々な考えがあります。
なので、ご自分の菩提寺さんの宗派に合わせることをお勧めします。
ですが、共通して言えるのは
「ご先祖さまが1年に1度この世に戻って来られるので、迎えにいってあげて、もてなしてあげて、またあの世に帰って頂くための行事」
ということ。
ちょうちんに火を灯して、お墓まで迎えに行って、そのちょうちんに先祖を乗せて帰るという 風習もあります。
お墓と自宅が近くない、お墓は地方にあるという方はそれも出来ないですよね。
ですが、気持ちが大事です。
ちょうちんでお迎えできない方も、長男の家じゃないから お仏壇がないという方も、できることがあります。
お盆の期間には、ご先祖様の分を食事を取り分けてあげて、「どうぞ食べて くださいね!」と声をかけてあげるだけでも、ものすごく喜ばれます。
ご先祖様は、本当に食べ物を食べたり飲んだりできるわけではないのですが、その「どうぞ!」という子孫の気持ちを「ふっ!」と飲み込むのだそうです。
それが最高のごちそうになります。
それからお墓参りをされる時も、声をかけてあげながらお掃除などをするといいです。
「お水かけるから目つぶっててねー」という風に。
お盆のお墓参りの前後の「迎え火」「送り火」
8月に入りました。お盆がやってきます。
現代の日本ではお盆休みには海外旅行とかリゾート、海水浴 みたいな過ごし方が多いかも知れません。
今年はまだコロナも増えてるので、おうちで過ごす方も多いのでは。
本来はご先祖様が帰ってこられるのを家でお迎えし、お見送りするというのが、本来のお盆です。
7月にお盆を行う早盆の地域と、8月に行う旧盆の地域があります。
これからという方はぜひ私のお伝えする方法でご先祖様をお迎えしましょう。
用意するものは、おせんべいなどが入っていたような空き缶。
これだとマンションの方もベランダで危なくなく、迎え火、送り火ができます。
お庭がある一軒家の方も、周りの草に燃え移ったりすると危険なので、出来れば缶の中で焚くといいですね。
用意するもの
●麻がら
はじめから折ってあるものも売っています。
折ったものを54本用意します。
もし麻がらが足りなければ、割りばしで追加してもOKです。
●束のお線香
●火をつけるためのろうそく、ライター
●縦27cm×横5cmの半紙に、ご先祖様の戒名がわかる方は全員書きます。
わからない方は○○家先祖代々之霊位と書いたものを用意します。
●(あれば)しきみの葉 7枚
●五穀米(五穀以上 十穀米でもよい)
●天然塩 少々
迎え火の方法
1.缶の中に写真のように3本ずつの束を三角形に積み上げていきます。
それに合うような長さに麻がらを折りましょう。
これを54÷3=18段積み上げます。
2.三角に積んだ麻がらの真ん中にお焚き上げする先祖の半紙を入れます
3.束のお線香にろうそくで火をつけます。全部つくまで根気よくつけます。
4.その火がついたお線香を半紙の所に突っ込んで、火があがればOK。
5.火があがっている間、般若心経・舎利礼文をあげます。
6.火が消えるまでの間に、五穀米と塩を入れます。
しきみの葉があれば7枚も 一緒に燃やします。
7.火が完全に消えて灰になったら、その灰をお墓参りに持って行って、お墓の周りに撒きます。
8.もしお墓参りには行けない場合は、灰は送り火の後、川に流します。
送り火の方法
8月16日の午後以降
迎え火と同じ方法で火をあげます。
○○家の半紙の代わりに、写経した般若心経やなければ 白紙の半紙を軽く丸めて火がつきやすくします。
残った灰は、川に流すのが一番よいです。
その際、お米としきみの葉7枚も一緒に流すといいです。
(この世に未練なく帰っていただくためです)
迎え火と送り火を行う日時
暦では、8月13日が迎え火で、8月16日が送り火です。
もしお墓参りに、8月12日にいくというのであれば、8月11日に迎え火を焚いてから 12日にお墓にいきましょう。
もし旅行などで16日まだ家にいない場合、帰ってきた日かその次の日に送り火をすれば大丈夫です。
マンションで火が上げられない方の迎え火の方法
ベランダも風が強くて、火をあげられない。
という方も多いでしょう。
そういう方には、線香ゴマをお勧めします。
用意するもの
1.香炉(こうろ)
お線香をたてる器のことです。
もしなければ、代理になるものを探してみましょう。
2.灰
3.お線香
1.香炉に灰を入れます。
2.お線香を1本ずつ、円柱になるように立てます。
3.円柱の一番上の部分に火をつけます。
(線香ゴマの場合は、紙塔婆や半紙は危ないので入れません)
4.火があがっている間、般若心経・舎利礼文をあげます。
5.迎え火も送り火も同じように行います。
6.紙塔婆は川に流しましょう。
うちにはお仏壇がない、本家じゃない、長男じゃないという場合
お仏壇がない家でも、盆棚を用意するとよいのです。
簡単な箱に5×27cmの「○○家先祖代々之霊位」と固めの紙に書いたものを立てます。
その前に、お水とお花を2対飾ります。 お線香も立ててください。
そこに自分たちが食べるごはんを少しだけよそってお供えしましょう。
また、故人が好きだったものをお供えしてあげるといいですね。
お盆の期間の間だけでもされるといいですよ。
家族の理解がないので家で迎え火出来ないという方の場合
家族がこういうことを理解してくれないという悩みもよく聞きます。
それでも、お盆にご先祖様に何かしてあげたいという方には、私が8月15日に自坊で行っている施餓鬼(せがき)供養がおすすめです。
こちらも、〇〇家先祖代々之霊位、や故人の戒名で紙塔婆をこちらでお作りして、ご先祖様と一緒に、お盆に帰ってきた施餓鬼に食べ物をお供えして、徳を積みます。
また、お経もあげますので、ご先祖様にも届きます。
いかがでしたでしょうか。
田舎の本家で育ったという方以外は、迎え火、送り火などする風習はあまりなかったかもしれません。
ご先祖様に感謝の気持ちを向けるというのは、自分の命の根本にかえるということ。
命の根本を粗末にしていて、自分が幸せに生きられるわけがありません。
もっと元をたどると、それが産土の大神さまや産土の守護仏さまとなります。
都合の良いときだけ神社に行ってお願い事をしても、自分の根本であるご先祖様の事を無関心でなにもしていないというのは道理が合いません。
神仏は一番道理を重んじるのです。
気持ちが一番大事なのですが、面倒だからやらないというのは、面倒という気持ちが神仏やご先祖に伝わります。
できるだけのことをやります。という気持ちで、やって頂くと、しっかり気持ちは届くはずです。
いいお盆をお過ごしくださいね。